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『重版出来!』中田伯くんの心の傷(1)

重版出来!の話から思ったこともうひとつ。

このドラマ(原作は漫画)には、

中田君という才能溢れる若手漫画家が出てくるんですが

彼は親から虐待を受けて育ち

育ての親である祖父を看取るという厳しい子ども時代を過ごしていました。

 

先輩アシスタント沼田さんにあるとき

「お前よく生きてきたな」と言われると

「漫画がありましたから 」

と淡々と答えているように、漫画を描くことを心の拠り所にして生きてきた。

いや、拠り所という生易しいものではなくて、

もうそれしか他に生きようがないくらいの切羽詰まった感覚で

漫画とともに生きてきたのだと思われます。

 

そんな彼は大御所人格者の三蔵山先生のところでアシスタントとして働いているとき

優しく接してくれる先生の奥様に、暴言を吐いてしまうシーンがありました。

編集者心ちゃんの心遣いを激しく拒否してしまう場面も。

 

親に鎖でつながれていたことに象徴される辛い思い出は

ちょっとした優しさや気遣い

心配によって強烈に刺激され

「支配される」という恐怖感情が湧き出てきてしまって

恐ろしさのあまり相手を攻撃しているように見えました。

 

虐待してきた母親への怒りと恐怖は

母親が目の前にいなくとも消えてなくなるわけではないのですね。
(もちろんなくなる人もいるのだろうけど、なくならなくても不思議ではないです)

 

中田君の場合は、その傷を見つめ漫画を描くということで

それを昇華しているように見えます。

 

さらに理解ある人たち(先生やアシスタント仲間、編集者たち)に囲まれ

本人のもつ素直さや相手を思う気持ちによって
の傷を持ちながらも、

彼らしさを失わずに周りと共に生きている姿が最期には描かれていて
希望のある終わり方になんだかほっとしました。

そのほかにも毎回感動場面がありましたね。

は営業小泉さんの回、社長さんの回、沼田さんの回が好きです。

 

どの登場人物もとっても魅力的でとてもいいドラマでした。

 

中田君のように、幼いころの心の傷によって

周りの人や自分自身を傷つけてしまうということは

自覚のあるなしにかかわらず

意外と多くの人にあることだと思います。

 

その中でも自覚的で

自分を、自分の人生を大切にしたい、周りも大切にしたい
と思っている人は
その傷に振り回されているような

それが制御できない「敵」であるかのような感覚をもってしまい
どうにかしたいと苦しむこともあるでしょう。

 

そういう状況になった場合、どうしたらいいのか。
向き合って自分で癒すことしかないように私は思います。

 

(つづきます)

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